岡山科学技術専門学校 建築工学科: 1月 2011


2011/01/31

吉村順三先生、住宅の教え



















(写真:吉村順三ギャラリーより)

吉村順三ギャラリーから送って頂いているメールに設計者、そして建築を学ぶ学生にとって非常に大切なことが書かれていましたので紹介します。

「浜田山の家」1965    文章:永橋爲成

○「建築の基本は住宅」
吉村先生は、「住宅が基本だと思います。どんな小さな住宅でも本当にうまくできたら、とても大きな仕事でもできると思います」と語る建築家である。

○「君が住むつもりで設計してごらん」
吉村先生は、「君が住むつもりで設計してごらん」と、まずは数少ない示唆をされ、「新手を考えてね」と付け加えられた。吉村設計事務所には、それまでに作った膨大な住宅事例がある。それらの引き写しは許されない。

○「君の意見は」
先生との打ち合わせはいつも、「君の意見は」と、まず聞く。大学でたての若者も、一人前の扱いである。「よおっし!」と意気込める。しかし、結局は先生の手のひらのうちにあるのだが、その辺のバックアップは実に凄いなと思う。

○先生は、「住宅の設計は内部から進めていき、最後にエレベーションのスタディにとりかかることにしている。エレベーションは本来、近隣との関係に責任をもち、節度のある態度でとりくむべきものである。エレベーションに限らず、一般に物の形は固定した論理でもって、やみくもにつくられるべきものではない。人間の自由さをいいものとして形に生かしてゆく努力・責任ある自由さ・を大切にしたい」語っている。

2011/01/20

センター試験!エンパイア・ステート・ビルの完成時期はいつごろか?

先日15、16日に行われたセンター試験の世界史Aにエンパイアステートビルの完成時期はいつごろか?を問う問題が出題されたのを御存知ですか?
本校の学生は、建築史の授業をしっかり受けているのでその時期がいつ頃かはパッと言えることでしょう。笑

ここまで話を引っ張って、問題を出さないわけはない。
さあ、正解できるでしょうか?

実際の問題は、以下の通りです。

文章を読み、下の問いに答えよ。

 19世紀前半のアメリカ合衆国は、大陸内での領土拡大と国土の開発を重視し、明確な世界政策を持たなかった。しかし、世界的な帝国主義の潮流に乗って (中略)20世紀に入ると、積極的な対外政策を主張する大統領のセオドア・ルーズベルトなどが登場した。また、戦争により空前の好況期を迎えたアメリカ は、世界経済の中心となった。大都市には次々に高層ビルが建設され、とりわけニューヨーク市のエンパイアステートビルは、完成時には世界一の高さを誇り、帝国としてのアメリカの象徴となった。

問 次の年表に示したa〜dの時期のうち、下線部の建造物の完成した時期として正しいものを選べ。

1886年 ニューヨーク市港湾に自由の女神像が完成
  a
1913年 グランドセントラル駅の現在の駅舎が完成
  b
1946年 ヤンキースタジアムに照明灯が導入される
  c
1972年 世界貿易センタービル北棟が完成
  d

正解が分かりましたか?
気になる答えは、bです。

ちなみに先生は一発で正解しましたよ。笑

では、いま一度復習しましょう。













<エンパイアステートビル>


エンパイアステートビルが完成したのは、1931年。その建設において社会/経済的背景として忘れてはいけないのが第一次世界大戦によるアメリカ経済の発展です。ちなみに第一次世界大戦の時期は1914-18年。世界大戦の主な戦場となったのは、ヨーロッパ(他アフリカ、中東、東アジア、太平洋、大西洋、インド洋)。

アメリカは遠くはなれた所からの参戦ということもあり、戦争の被害を受けなかったばかりでなく、戦中には、連合国(イギリス、フランス、ロシア、日本など)に物資を供給し続けていたため、莫大な利益を獲得しました。その結果、著しい好況に恵まれることとなり、さらには資源の豊かなアメリカ産業は著しい飛躍を遂げていきます。
ニューヨークでは、地下の沸騰と商業資本の隆盛によって、高層建築(摩天楼)が次々と林立し、その中、1930年には世界経済の中心となったアメリカ経済を象徴するかのようにクライスラービル(319m、77階建て)が世界一の超高層建築となったのです。
















<クライスラービル>


そこでその対抗馬として現れたのが、エンパイアステートビル。

1930年3月17日に工事が始まり、週4.5階のペースで軸組みを組んでゆくという驚異的な建設スピードにより、エンパイアストートビルは翌年1931年の5月1日に竣工を迎えます。高さ381m、102階建て
わずか1年と45日で建設された背景には、当時ニューヨークで世界一の高さを誇っていたクライスラービルを抜いて世界一の座を奪うねらいがありました。
そして、それから数える事42年の1972年、ワールドトレードセンター/ノースタワーの竣工により、ついに世界一の座はワールドトレードセンターに譲ることとなったのです。。。

以上がエンパイアステートビルのまとめになりますが、関連してワールドトレードセンターについて余談を少々、、、

皆さん御存知のとおり、2001年9月11日のイスラム系国際テロ組織アルアカイダによるテロ事件によってワールドトレードセンターは完全崩壊という前代未聞の大惨事が起こりました。崩壊後、現場を訪れたことがあるのですが、現場はその惨事による大きな傷跡の深さを荒々しく物語っていました。
その翌年2002年には、世界中で大きな話題となった国際コンペが開かれ、数ある計画案の中から再建案に選ばれたのが、NYの建築家ダニエル・リベスキンドによる『フリーダム・タワー案』。しかし、収益率の問題からシカゴに本社を置き世界中に支店を置く商業建築計画に長けた大規模組織設計事務所であるSOMが指名参画されることとなり、計画は2転、3転。さらには保安上の問題や、土地所有者の意向も加わり大幅な変更を余儀なくされ、計画当初の原型を留めない全く別案のようなものとなり、名前もそれ迄の『フリーダム・タワー』から『1(ワン)ワールドトレードセンター』に変更されてしまった。この名前変更には、建物の管理事務所の運営上の便宜を図ったためとされている。要するに管理しているエリア内の他の建物の名前が「2ワールドトレードセンター」や「3ワールドトレードセンター」のように「番号+ワールドトレードセンター」となっており、ここだけ違うのがややこしい/理屈に合わないということから変更がかかったそうである。
ちなみに竣工は2009年予定されていたが、建設中のテロ犠牲者の遺骨発見や世界金融危機その他諸々の事情により建設が中断、延期を繰り返し、2013年に竣工を迎える予定。それまでの間は、エンパイアステートビルがニューヨークで一番高いビルとなっている。

これで一連の話を終わりにしますが、NYは本当に不思議でエキサイティングな街です。機会があれば是非行ってみて下さい。













<9・11>














<フリーダム・タワー>
























<ワン ワールドトレードセンター>

2011/01/19

作品制作参考本 入荷

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2011/01/17

新たな建築の可能性について語る

皆さんが学校で使っているCadソフト以外にも市場には幾つかのCadソフトがあります。
その一つ、Vectorworks(ベクターワークス)の開発発表、新たな機能の紹介のための展示会、講演会が行われた。様々な業界の第一線で活躍する人たちは、そう言ったソフトを使いこなし、どういった構想を描いているのだろう。その一面をこのリンクで垣間みてはいかがでしょうか?

サクラダファミリア/スペイン、バルセロナ内部完成!

去年11月7日、130年の時を経て、ようやくサグラダ・ファミリアの聖堂内が完成し、献堂式が行われたことがケンプラッツに発表されていたので、リンクを御覧下さい。













































写真:Aitor Estevez Oraizola